ここでは、家づくりに関する様々な基礎知識を、お役立ち情報として分かりやすくご紹介しています。ぜひ、家づくりの参考にしてください!
5 「住みごこち」の数値表現
5.1 WHOの「健康住宅ガイドライン」
ハイブリッドソーラーハウスでは、「住みごこち」こそが住宅の目的だと考えます。 居住温熱環境の先進国、ヨーロッパではWHOヨーロッパ支局やISO等で快適住環境の解析が行われています。下記はWHOヨーロッパ支局発行の「健康住宅ガイドライン」などの抜粋です。
5.1.1 気温(室温)とMRTの差を3℃以下に
壁や窓の平均温度を室温とほぼ同じに保つ」という意味です。 私たちは部屋の温度を「気温」すなわち「空気の温度」だけで考えますが、身体は「気温」と「平均輻射温度MRT」の平均を感じています。「平均輻射温度MRT」は壁・床・天井・窓・家具などの身体と向かい合うすべてのものの温度です。
気温とMRTの差をなくする方法
断熱の悪い家や、昨夜寝るときに暖房を切って就眠した家が、翌朝暖房してもなかなか本当の快適性を得られないのはそのためです。「内と外を仕切る強力な境界(高断熱化)」と「継続暖房(冷房も)」によってのみWHOの基準が満たせます。「継続暖房」でも特に「輻射暖房」ではその効果はさらに上がります。
MRTが低いと危険
ハイブリッドソーラーハウスの特徴は、「気温」よりも「MRT」の方が高いことです。このため、不快な暖房感がなく、冬の間、家の中は「ほど良い季節」であるかのような温感に包まれます。WHOはMRTが低いと体の深層から熱が奪われ回復に時間をかかる危険性を指摘しています。
環境工学ではこれを作用温度(OT Operative Temperature)と言います。
世界で随一の高齢者入浴死
作用温度OT = (気温ta × 0.43)+(MRT × 0.57)
= (気温ta + MRT)÷ 2冷えた身体をお風呂で温める習慣が世界でも類を見ないほどの高齢者入浴死を生んでいます。図はWHOによる年齢別溺死者のグラフですが、入浴起因死者数は年間1万5千人とも1万9千人ともされています。
5.1.2 湿度は夏60%以下、冬30%以上
日本の夏の不快感は温度よりむしろ湿度の影響が強いのが特徴です。住宅ではエアコンで除湿するしか方法はありません。
人は安静状態でも1人1時間に40gr水蒸気を吐き出します。気密性の高い住宅ではこれが蓄積し室内湿度が上がりダニの発生につながります。小児ぜんそくやアトピー症の原因の70%以上はダニが原因ともいわれます。
大陸高気圧が優勢な日本の冬は、外気に含まれる水蒸気量が少なくなります。このため、適切な換気が行われていれば室内湿度は30~35%になって当然で、正常です。
お肌がバサバサとか湿度を上げたらインフルエンザウィルスが死ぬ、などワイドショー的情報に乗られてむやみに加湿するのはやめましょう。パリの乙女たちの肌がぱさぱさで醜く、インフルエンザになってい罹りやすいということは全くありません。5.1.3 気流は0.1~0.15m/s
私達は長年ファンヒーターやエアコンによる空気暖房と当然としてきたせいか、風に肌を撫でられるのを苦にしないのでしょうか?エアコンの温風は熱気球のように上昇しますが、これを無理やり吹き降ろそうとすれば不快な風は避けられません。 但し、夏は除外します。
5.1.4 床板温度は23~26℃
床板温度は居住快適性に強い影響があるだけでなく、冷えた床は足に疲労感と気だるさをもたらします。暖か過ぎる床温度もまた不快。世界中の研究で、23~26℃辺りが最も快適な床板温度であることが分かっています。
冬のハイブリッドソーラーハウスの床板温度は丁度23~26℃辺りです。5.1.5 頭と足元の温度差は(頭-足元≦3)
エアコンなどの空気暖房は、暖かい空気を室内に投げ込んで部屋全体を暖めようとするものですが、暖かい空気は上昇し、足元より天井近くの温度が高くなります。空気式セントラル暖房のアメリカでは「空気循環では頭が熱く足が冷えるので床暖房にしよう」という広告がしきりと出るほどです。 ハイブリッドソーラーハウスでは、足元から吹抜けの上まで温度差がありません。家全体に広く拡がる床暖房、しかも、24時間変動の無い床暖房だからです。
床上10cm、床上2m、吹き抜け天井近辺の
3か所同時温度測定。温度差は1℃未満です。