ここでは、家づくりに関する様々な基礎知識を、お役立ち情報として分かりやすくご紹介しています。ぜひ、家づくりの参考にしてください!
1 住宅断熱の基礎知識-断熱
チリウヒーターの家づくりコンセプトは「家は住みごこち」です。
1.1 断熱の役割
「高断熱・高気密」「高性能住宅」「ZEH」などの言葉が次第に口にされるようになってきましたが、建て主にとって最も大切なターゲットは「住みごこち」です。
老後まで健康で安心して暮らせる「住みごこち」を作るには
- 屋内と屋外を仕切る「強力な境界」
- 建物を冷やさない「継続的な暖房(冷房)」
「強力な境界」の家と「そうでない家」との相違は、下のように表現されます。
温もりが逃げ易いので寒さを耐え忍ぶ暮らし
光熱費を増やさなくて快適な住みごこち
「光熱費の差」ではなく、「耐え忍ぶ家」と「住みごこちに満足の家」の違いになります。
1.2 熱の逃げ道を知る
温もりはどこから逃げるのでしょうか?
家から温もり(冷涼)が逃げ出すルートは、3つあります。
- 壁・天井・床
- 窓・ドアなどの開口部
- 換気と空気漏れ
この3つの逃げ道から、どれほど熱が逃げ、断熱と窓の選択で、どう変わるかを表したのが下のグラフです。
A→1992年の断熱基準(高断熱・高気密とは言えない)の家
B→1999年の次世代省エネ基準の家
C→Heat20基準のG2に近いG1の家(ハイブリッドソーラー標準住宅)
1.3 断熱材の選び方 熱抵抗 R
断熱材の選択に当たり、工務店も建て主も断熱材の商品名で評価することが多いのですが、商品名は断熱性能を表しません。 断熱材は、熱抵抗値 R(m2K/W)で評価します。 Rは、熱の逃げ難さを示す値で、Rが大きいほど、断熱力が強いことを意味します。
熱抵抗値R(m2K/W)=断熱材の厚さ(mm)÷1000÷熱伝導率(W/mK)
各種材料の熱伝導率表 はこちら
Rを計算してみよう!
1.4 2016年改正省エネルギー基準の参考断熱仕様
2016年の省エネルギー基準改正に当たり、断熱仕様での基準はなくなりましたが、99年省エネルギー基準の仕様基準がそのまま掲載されているので、参考までに掲載します。
1.5 1ランク上の断熱 プラス断熱
壁は、柱と断熱材とでできています。厚さ105mmの高性能グラスウールはR2.76(m2K/W)ですが、厚さ105mmの木材(R0.88)が壁面積の17%(注1)を占めているとされるので、壁全体の平均Rは2.02 m2K/W になってしまいます。
そこで柱から逃げる熱を止めるため柱の外から樹脂断熱板を張る方法が効果的です。弊社ではこれを「プラス断熱」と呼んで、仲間の工務店さん達にお勧めしています。
(注1) 壁の木材率は16年改正省エネ基準では在来工法では17%、枠組壁工法では23%とされましたが、99年次世代省エネルギー基準では在来工法19%、枠組壁工21%でした。
プラス断熱による壁平均Rの向上
熱伝導率0.022W/mKの断熱材を張った場合
「プラス断熱」の計算 プラス断熱厚さに 30㎜、40㎜、50㎜を入れてみましょう。
工法 | 軸組工法 | 枠組壁工法 |
---|---|---|
充填断熱する壁の厚さ ㎜ | ||
充填断熱材の熱伝導率 W/mK | ||
充填断熱壁の平均R m2K/W | 2.02 | 1.58 |
プラス断熱の厚さ ㎜ | ||
プラス断熱の熱伝導率 W/mK | ||
壁の平均R m2K/W | 2.02 | 1.58 |
プラス断熱無しと比べ何倍? | 1 | 1 |
1.6 ハイブリッドソーラーハウスの標準住宅仕様
ハイブリッドソーラーハウスは、より健康で快適に暮らしていただくことを目指し、基準を設けています。
1.7 勾配天井と平天井
20年ほど前に、一部の樹脂断熱板メーカーを起点として「外断熱」ブームが起きました。樹脂断熱板を天井に張るのは施工上難点が多いので、この過程で、「天井の断熱を屋根面に張る」ことが推奨されて流行し今日も続いています。しかし平天井なら厚さ300mmのブローイング断熱も可能なのに、勾配天井では断熱に制約が起きます。
「吹抜けの屋根勾配を見上げで視覚的高さを楽しむ」「子供用の寝室」など具体的な理由がなければ、「平らな天井」をお勧めします。
勾配天井は平天井に比べ断熱Rは15%増が求められ(99年基準)それでも暖房熱需要は10%増しになります。
居室を広げる以外の理由で勾配天井にするのは避け、勾配天井には強めの断熱をしましょう。