ここでは、家づくりに関する様々な基礎知識を、お役立ち情報として分かりやすくご紹介しています。ぜひ、家づくりの参考にしてください!
5 「住みごこち」の数値表現
5.2 湿度と水蒸気のはなし
湿度湿度は快適性に重大な影響がありますが、天気予報でも湿度のことは何も言いません。これは湿度の表現に相対湿度(Relative Humidity)を使うため、気温が刻々変わるとともに湿度も変わるため「今日の湿度は何%」と言い表せないからです。 しかし、湿度を絶対湿度(Absolute Humidity)で表現すれば気温と関係なく空気質を論じられます。ビルなどの空調設計の専門家たちは絶対湿度を使います。
湿り空気と水蒸気分圧私たちを取り巻く空気は空気と水蒸気の混合物です。これを「湿り空気」と言います。 1気圧(1atm、760.00mmHg、101.325kPa)の空気は空気の圧力と水蒸気の圧力の合計で、水蒸気の圧力を「水蒸気分圧」と言います。
飽和水蒸気圧湿り空気はその温度に応じて包含できる水蒸気分圧・水蒸気量に限界があり、それを超えると水蒸気は水になります(結露)。その限界が「飽和水蒸気圧(kPa」」「飽和水蒸気質量(kg/kg’)」です。
飽和水蒸気質量の単位は、1kgの乾燥空気質量(kgDAとかkg’)中の水蒸気質量(kg)なので、kg/kgDA とかkg/kg’とか表記されます。(DA :Dry Air)
飽和水蒸気圧はWexler-Hylandの式で計算されます。やや古く精度は落ちますが簡単な式Antoineの式でも計算できます。
相対湿度φ(%)=水蒸気分圧f(kPa)/飽和水蒸気圧分圧fs(kPa)×100
これが一般的に使われる「湿度」です。 湿度80%とは、最大包含できる水蒸気圧のうち、現在すでに80%を包含しているという意味ですから、蒸し暑いわけです。
絶対湿度x(kg/kg’) =0.622×(水蒸気分圧f(kPa)/(大気圧P-水蒸気分圧f ) (kPa)
飽和空気の絶対湿度 xs (kg/kg’)=気温ta 圧力Pでの最大包含可能な水蒸気量 身の回りの空気の絶対湿度は朝晩で気温か変わっても変わりませんが、季節が変わったりして気圧配置が変わると変わります。
東海地方では、夏は15~22 g/kg’にも達しますが、冬は2~5 g/kg’にも下がります。天気予報でこれを言ってくれるとよいと思うのですが。
5.2.1 Wexler-Hyland の式
Ps(kPa)=EXP(-5800.2206/(ta+273)+1.3914993-0.048640239*(ta+273)+0.41764768*10^(-4)*(ta+273)^2-0.14452093*10^(-7)*(ta+273)^3+6.5459673*LN((ta+273)))/1000
大気圧1atm=101.325kPaにおいて
気温 ta ℃ 飽和水蒸気圧ps kPa 3.56731 飽和空気の絶対湿度 xs kg/kg’ 0.0227 相対湿度 φ % 絶対湿度 x kg/kg’ 0.0125 エンタルピー h kJ/kg’ 58.979 5.2.2 Antoineの式
Ps(kPa)=0.1333*EXP(18.4841-3927.236/(ta+231.405))
気温 ta ℃ 飽和水蒸気圧ps kPa 2.6408051 飽和空気の絶対湿度 xs kg/kg’ 0.0166 相対湿度 φ % 絶対湿度 x kg/kg’ 0.0092 エンタルピー h kJ/kg’ 45.378 -
5.2.3 乾湿球温度計
湿度の監視に大切な役割があります。冬に湿度が40%を超えることがあるとすれば換気が適正に運転していない恐れがあります。また、夏、エアコン運転時の除湿状態の監視も大切です。
唯一お勧めできる湿度計はドイツのTESTO社のものです。一般に市販されている湿度計は湿度センサーに長期信頼性がないようです。もう一つ信頼できるのは、昔ながらの乾湿球温度計です。 乾湿球温度計の乾球・湿球温度の読み取りから湿度を算出する計算はこちらです。
大気圧1atm=101.325kPaにおいて
乾球温度 td ℃ 湿球温度 tw ℃ 大気圧 P kPa 101.325 Twにおける
飽和水蒸気圧pskPa 2.48767 Twにおける
気化潜熱 LwkJ/kg 2441.63 空気の定積比熱 Cp kJ/kgK 1.006 飽和空気の絶対湿度 xs kg/kg’ 0.0157 乾湿球定数 0.067 水蒸気圧p kPa 2.219 相対湿度φ % 70.02 絶対湿度 x kg/kg’ 14.06 5.2.4 空気の密度
密度は、単位体積あたりの質量です。
空気の密度ρ=1.293*P *(1-0.378*e/P)/((t+273.15)/273.15)
ただし、0℃, 1 atm(101.325kPa), 湿度0%での空気の密度 1.293kg/m3大気圧P kPa 気温 t ℃ 相対湿度 RH % 相対湿度 φ % 50 水蒸気分圧 e kPa 1.1694 密度 ρ kg/m3 1.1995 比重 0.8337 5.2.5 湿り空気線図
温熱環境の指標と計算「家は住みごこち」 がハイブリッドソーラーハウスの基本コンセプトです。 住宅の目的は快適な温熱環境を作ることです。それが良好な「住みごこち」を生みます。 室内温熱環境を表す指標が古くからいくつか研究されています。