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チリウヒーター

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お役立ち情報集INFOMATION

ここでは、家づくりに関する様々な基礎知識を、お役立ち情報として分かりやすくご紹介しています。ぜひ、家づくりの参考にしてください!

5 「住みごこち」の数値表現

5.3 温熱環境指標

室内の温熱環境を表現するいくつかの指標があります。オフィス内の作業環境評価を中心に研究されてきたようですが、住環境の健康性・快適性の評価もおなじことです。

  • 5.3.1 作用温度 Operative Temperature

    人体は周囲の空間に「対流」と「輻射」によって熱を放散し体温調節します。そこで人間は「気温ta」と「平均輻射温度」で温度を感じます。
    これを作用温度(OT Operative Temperature)と言います。
    湿度を考慮に入れてないので湿度の高い日本の夏などには適用できません。
    気流が0.1~0.2m/s程度では下記計算と見做して良いとされています。

    OT=(気温ta + MRT tr)/2

    下記の式の方が詳細のようです。
    MRTは測定困難なのでグローブ球温度から計算します。

    tr=((tg+273)^4+2.47*10^8*v^0.5*(tg-ta))^(1/4)-273 または tr=tg+2.37*v^(1/2)*(tg-ta)

    hc: (270×v^2+23)^(1/3)/0.86(北海道大学持田徹氏)とされ、風速が0.1~0.2m/sで3.43~3.76とされます。ここでは3.6W/m2K を使います。

    hr: 室内にストーブなど高温物がないとき 4.7W/m2K が使われます。

    OT=(hc×ta + hr×tr)/(hc+hr)

    気温 t
    グローブ球温度 tg
    人体の対流熱伝達率 hc W/m2K 3.6
    人体の輻射熱伝達率 hr W/m2K 4.7
    平均輻射温度MRT tr 23
    作用温度 OT 23

    式からわかるように、気温よりも平均輻射温度MRTの方がやや影響力が強いです。

    ハイブリッドソーラーハウスでは広範囲の床からの輻射放熱で家を暖めるので、平均輻射温度MRTの方が気温より高くなり、室温はその分低くて済みます。すなわち一般的な「気温を上げて暖房」というより、やわらかい心地よい温感が提供されます。 居住者はこれを「季節のような暖房」「暖房感のない暖房」と評します。

  • 5.3.2 代謝量 MET(metabolic rate)

    人体は、食料を燃焼させて、活動に応じたエネルギーと仕事量を生み出します。これを「代謝」と言い、単位はMETです。安静に近い状態がは1METです。

    1 MET=58.15W/m2 (ただしm2 は人の体表面積)

    あるいは、1 MET=1kcal/kgh=4.18 kJ/kg=1.1622W/kg です。

    国立健康栄養研究所の表の15ページ辺りに安静に近い状態が出ています。

    図は、建築環境工学(朝倉書店)宇田川光弘・秋元孝之らに掲載の絵です。

    典型的活動における代謝

  • 5.3.3 人体表面積と着衣表面積増加率

    人体が周囲の環境との間に熱くもなく寒くもない熱的平衡が維持されると快適です。 そこで身体からどれほど熱が放散されるかを見る上で、人体の表面積と着衣の表面積を知る必要が出ます。

    人体表面積

    身長・体重から人体表面積を計算する
    A = 0.007184 × H 0.725 × W 0.425

    身長 m
    体重 kg
    表面積 m2 1.838
  • 5.3.4 着衣表面積増加率

    着衣表面積増加率fcl は、着衣量 I clo のとき、
    fcl=1.05+0.1*I(clo) (I>0.5), 1.00+0.2*I(clo) (I<0.5)

    着衣量 I clo
    着衣表面積増加率 fcl 1.1
    不快指数 DI Discomfort Index

    蒸し暑い日本の夏では、しばしば耳にする言葉で、気温と相対湿度で決まります。
    DI=0.81*ta+0.01*RH*(0.99*ta-14.3)+46.3

    気温 ta clo
    相対湿度 RH %
    不快指数 DI 78.4

    DI≧75  やや暑い
    DI≧80  暑くて汗が出る
    DI≧85  暑くてたまらない

  • 5.3.5 PMV(Predicted Mean Vote)と PPD (Predicted Percentage Dissatisfied)

    「人体内部の熱の生産」と「周辺環境への放熱」とが等しいと体は熱くも寒くもない快適な温熱環境と感じます。この関係を計算するのがPMVです。  PMV(予想平均温冷感申告)は、気温・湿度・気流・放射・ 着衣量・代謝量の 6 要素を総合した温熱指標で、温冷感を投票させたとき回答群がどう分布するかを予想するものです。
    ISO(国際標準化機構)では、- 0.5 < PMV <+ 0.5 を快適範囲として推奨しています。

    PMVを簡単に計算するサイトがこちらです。

    PMV=f(M)*S
    f(M)=0.303exp(-0.036M)+0.028
    S=M-Q-Q' = M-(C+R+E)-(C'+E')

    M = Mm+Mw
    Mm代謝量1met=58.15W/m2, Mw 外部仕事 通常0W/m2
    C = fcl*hc*(tcl-ta)
    hc= 2.38*(tcl-ta)^(1/4) と 12.1*v^0.5 の小さい方 又は hc= 12.1*v^0.5
    R = 3.96*10^(-8)*fcl*[(tcl+273)^4-(tr+273)^4]
    C '= 0.0014*Mm*(34-ta)
    E '=1.73*10^-5*Mm*(5867-pa)
    tsk=35.7-0.028(Mm-Mw)
    tcl=tsk-0.155*I*(3.96*10^-8*fcl*((tcl+273)^4-(tr+273)^4)
    +fcl*hc*(tcl-ta)

    入力
    気温 ta
    グローブ球温度 tg
    平均放射温度 tr 24.7495
    代謝量M met
    代謝量M W/m2 58.15
    機械的仕事量 W=0 met 0
    着衣量 clo
    風速 v m/s
    相対湿度 %
    記号 計算結果
    tsk 平均皮膚温度 34.072
    fcl 着衣表面積増加率 1.14
    tcl 着衣表面温度 28.435
    pa 環境水蒸気圧 kPa 1.124
    C 対流熱損失 W/m2 22.51
    R 放射熱損失 W/m2 17.95
    E 蒸発熱損失+不感蒸泄 W/m2 16.24
    C’ 呼吸による顕熱損失 W/m2 0.9
    E’ 呼吸による潜熱損失 W/m2 5.9
    PMV -0.2
    PPD 5.86

    温熱環境に不満足と感じる人の割合を示すPPD(予測不満足率)はPMVから計算できます。PPDは<10% が推奨されます。

    PPD=100-95exp(-(0.03353*PMV^4+0.2179PMV^2))
    PMVとPPDの関係をグラフにすると下図のようになります。