昔から太陽の温もりを活かして暖かく暮らそうとする思いは、縁側で日向ぼっことか、いろいろ実行されてきました。暖房システムで家全体を暖かくするのが当然の西欧でも、太陽の温もりを利用して省エネをする方法がいろいろ試みらていますが、これには1つ欠かせないコツがあります。陽の温もりは昼間しかありませんが暖房は夜を中心に欲しい、そのため太陽の温もりを蓄えておく必要があり、その為に水タンクとかコンクリートが使われます。私は、お金がかからず永久に水漏れの心配もないコンクリートを使います。巨大なコンクリートの塊を家の中に置いては邪魔なので、床をコンクリートにして、その中に一面に配管を埋め固め、表面には床板を張ります。太陽熱でお湯を温めるのは昔からある手法なので、このお湯を日照時間中ずっと床下の配管に循環してやると、床のコンクリートが温もりを蓄えます。こうして床一面のコンクリートを温めてやるとその温もりは一晩中さらに明朝までも家を暖めます。しかもこれを毎日続けていると、不思議なことに家全体が冬の間ずっと暖かいのです。暖房期が済んだら太陽はお湯沸かしに切り替えれば、一年の半分はお風呂のお湯沸かしは殆んどタダ。
日本では関心が薄いのですが、西欧では「地球温暖化」は今や重大なキーワード。これから世界人口が100億に迫る時代に、暮らしに自然の力をどう活かすかを考え実践するのは、もはや人間の義務ともいえるのです。
2050年には世界の人口は100億人になると予測され、この100億人を食べさせるということを多くの国際機関が心配しています。農業生産を増やすことも重要ですが、食品ロスが無視できない問題です。地球規模で言えば、今生産されている食料で世界中の人を食べさせていける計算なのですが、実は生産された食料が人々の口にうまく届いていません。年間13億トンの食べ物が人の口に届かずに捨てられます。穀物の30%、乳製品の20%、魚類の35%、肉の20%、野菜の45%がゴミになります。世界で生産される食糧の1/3が毎年廃棄されている勘定です。バナナは最も食べられている果物で年間1億トン以上、1兆本も輸出されます。木から採るときは緑色ですが、長いときは1月半もかけて店頭に出るため、黄色くなり過ぎたり傷んだりして2.5億本が廃棄されています。バナナは自らエチレンを生成しこれで実が黄色くなりますが、どれかが黄化を始めると梱包全体が連鎖的に黄色くなってしまいます。そこで、細胞にエチレンを作る指令を出す遺伝子を切り取ってしまうという研究が英国で進んでいます。問題の遺伝子組換えとは異なりより安全性に問題はなさそうです。他にも、ジャガイモやリンゴを酸素を減らした倉庫で長期保存するとか、食料の無駄を減らす研究が世界中で行われています。それでも、もっと大切なことは、私達が食品を貴重なものと考えて、余分に買ったり粗末にしたりしないことです。
英国最北のスコットランドのそのまた北端のオークニー諸島は、70ほど島がありますが人が住むのは20ほどで、一年中北太平洋の強風と波を正面から受ける荒々しい土地です。その海に、幅2,3メートルほど、長さが数十メートルの奇妙な船が見えます。舳先で波を切っているので走っているように見えますが、実は移動していません。この船は海底に繋留され、激しい潮流の中でプロペラが回り、潮流時速11kmで1,800
kW発電します。ちなみにこれを600台使うと原発1基分に当たります。他にも海中水車とかいろいろ試しています。日本でも潮の流れが激しいところは各地にありますね。
中国などは風車を砂漠に大量設置しますが、デンマーク辺りでは、海に見渡す限り大量の大型発電風車を並べています。上空から見ると、田植えの済んだ水田をイメージするほどですが、日本では深い海が多いので浮体式洋上風力発電に着目し、復興の象徴にと、福島県沖に実験機3機が設置されましたが、最大の直径167mの風車は6年経って不調という事で解体されるとか。直径160m級の発電風車は世界ではたくさん稼働しており、「高い技術力を誇る」と言われるこの国が本気で取り組んだのだろうか、と疑います。欧州では「地球温暖化」は差し迫った問題として受け止められ、自然エネルギー利用拡大はどんどん進んで、ドイツは全発電量の1/3以上が自然エネルギーによる電気です。
BBC world news より
気候変動に強い警鐘を鳴らし続けるBBC放送は、近年の世界的な異常事態を頻繁に映像で報道しています。この四月イランの大洪水で死者数十人、オーストラリアの二月はモンスーン時期で雨は多いのですが今年の雨は例外的で、長雨は19世紀からの記録を破りました。そのくせ昨夏は大干ばつ、50℃の猛暑で山火事多発。アメリカの三月は竜巻シーズンですが今年は猛烈で死者23人、これは昨年の総被害者数の二倍です。一月には極渦(ポーラー・ヴォルテックス)と呼ばれる北極から流れる大寒波でシカゴの街では―50℃、洗ったジーンズを投げると空中でカチカチ。一月にアフリカ南部を巨大化した台風が襲い七百人超の死者を出し、さらにその後コレラが蔓延。国連は南半球で過去最大の天災と宣言。ヨーロッパの一月は過去最も寒い冬を経験し、90年ぶりの大雪も。ヨーロッパでは学生を中心に、温暖化対策の促進を訴えて壮大なデモが行われています。遠い国の話ばかりではなく、日本でも昨年七月の記録的大雨で二百人以上の死者を出したのは記憶に新しいし、今年五月の記録的な暑さはまともではありませんでした。こうした過激な気候は私達も身をもって感じますが、実際に、近年の風水害被害による火災保険会社の支払いが急増したもようで、遠からず火災保険料が相当値上がりする可能性が出てきました。日本ではさほど騒がれない地球温暖化ですが、こうして身近なところにも影響します。
オーストラリア ABC放送より インドネシアの洪水
香港の抗議活動は世界中の注視のなか、広範な市民の支持のもとに20週継続で続いていますが、事の起こりは犯人を本土の中国政府へ送ることができるという法律案からです。半中央政府論調の書を多く扱う書店主が拉致され中国へ送られたなどの情勢下では当然の騒ぎですが、その後さらに抗議集会にマスク禁止令が出されて更に火が拡がりました。ではなぜ覆面が重要か。5年前の雨傘運動のときは、リーダー達が逮捕投獄されたので今回はハイテクを駆使してリーダー特定を困難にし、覆面もしています。実は、中国は街中に配置した監視カメラによる顔認識をする技術では世界一と言われ、この監視カメラネットワークを「天網」と呼びます。すでに北京や上海近郊には設けられているようで、中国のように政府に反抗するものを監視し排除する国で磨かれた技術と言えます。行政長官キャリー・ラムはこの防犯灯柱の設置を発表しましたが、個人情報の漏えいや、政府による監視の可能性ありと猛反発を受けました。抗議活動の若者たちは防犯灯柱を倒し、中から中国製の監視用部品を見つけたと言っています。このように、民主化のための市民活動が裏ではハイテクの闘いにもなっているのです。巨大な一党独裁政権と闘う苦しい立場の香港の若者たちに、支援の気持ちを送りたいものです。防犯カメラは市民生活を守る大切なものですが、為政者の姿勢次第で危険なものになりえます。市民各人が個人情報や自由を大切に思うことが重要です。
①街灯の監視カメラ ②防犯灯柱を倒すデモの若者
③中国製の監視部品を発見 いずれもBBCニュースより
前々回、地球温暖化の影響で首都周辺には移入民による大きな低所得者の町が出来たと書きました。今やモンゴリア首都人口の6割は低所得層です。冬―50℃にもなるこの国で、彼らは豊富に採れる石炭のうち、安い低質炭を焚いて暖房するしかありませんが、これがPM2.5を排出し町を覆い、さらに中国や日本へも流れます。低質炭暖房は5月に禁止されましたが、上級炭は買えず高圧電気が来ていない低所得層には、他に暖房手段はありません。首都ウランバートルの冬の大気は世界最悪水準で、安全指針25µg/m3のところ1000以上。この春行った人の話ではマスクは役に立たず、防毒マスクみたいなのが必要で、ちょっと外したら気分が悪くなったとか。重度の呼吸器障害で入退院を繰り返す小児たちが年々増えています。産業革命以来、大気中に浮遊する微粒子が健康に有害なことが分かってきて、粒の大きさ10μm(1㎜の千分の10)のものが大気汚染の指標として世界で広く使われてきました。ところがその基準が満たされている地域でも健康被害が多発することが分かり、さらに細かい1~3μmの微粒子PM2.5の基準が必要とされました。PM2.5はただの粒ではなく硫酸・硝酸系化合物など危険粒子で、WHOの安全指針は大気1m3中25μg/m3以下です。石油石炭の燃焼が主発生源ですが、タバコの煙も同類です。私たちの、何気ないCO2排出による地球温暖化は、こんな形で人類に逆襲を始めており、先ず犠牲になるのは弱者たちですが、つけは必ず我が身に回ってきます。
ナショナルジオグラフィック より
https://www.nationalgeographic.com/environment/2019/03/mongolia-air-pollution/
以前に内壁に思い切った色を使った例を紹介しました。実際、これらの例を住人はとても気に入って使っておられます。日本では、改修は建築屋さんに頼むのが普通ですが、欧米では家族構成の変化に応じて家を買い替えるのが一般で、高く売れるようできるだけ自分で家を手入れします。部屋を美しく塗装しなおすのもその一環ですし、第一自分が楽しめます。
今張ってあるビニールクロスの上から塗装して壁の色を塗り替える上で2つのポイントがあります。一つはローラー塗装です。1938年にアメリカで発明されたローラー塗装法はDIYを変えたと言われるほど効果的でした。実際、壁の塗装を刷毛でやってみるとむらなく塗るのがとんでもなく難しいのですが、ローラー塗装だと実に簡単です。これによって世界中で居住者が部屋の壁にペイントを塗って模様替えをすることが一般化しました。もう一つは、日本でも「ターナー色彩」社などが先駆してビニールクロスの上から塗れるペイントが出来たことです。とは言えいざとなると心配でしょうが、インターネットで塗り方が紹介されていますので、2,3のサイトをご紹介します。塗り壁に塗装する方法も出ています。注意!決してインターネットだけで色を選んではいけません。コンピューターで表示される色は実際の色と異なりますので、必ず色見本を見てから決定しなくてはいけません。やればとても楽しいので勇気をもってやりましょう。
ターナー色彩 https://item.rakuten.co.jp/turner/c/0000000101/
ペイントの種類が豊富 ペンキの基本的な塗り方 https://www.rakuten.ne.jp/gold/kabegamiyahonpo/d/paint/howto-kihon.html
ビニルクロス壁の塗装方法 http://shop.kanpe.jp/m/interior01.html https://item.rakuten.co.jp/kabegamiyahonpo/rkpk-tn-ori-20/ の「塗り方・・・もっと詳しく」など
ヨーロッパにまで及ぶ大帝国を築いたジンギスカンの国、モンゴリア。広い国土の大半が砂漠か乾燥草原で、人口3百万人の半分が首都に住んでいます。人口の4割は伝統的な遊牧民で、牛や馬や羊の群れを所有し、ゲルと呼ばれるテント暮らしで草を求めて移動する生活をしています。彼らの昔から大草原の澄み切った空気の中で暮らしが、今や地球温暖化により危機に陥りつつあります。日本で私たちも感じることですが、90年代から大雨、猛暑、極寒などが多発する気候の過激化がすすみ、2000年代には天災が従前の2倍になったと言います。今のペースで世界中が温暖化ガス排出を続けると、内陸気候のモンゴリアでは気温が6.3℃上がり、天災はさらに激増するだろうと、気象当局は恐れています。遊牧民のxxさんは昨年、夏の干ばつで弱った家畜の多くを厳冬・大雪で失いました。馬は200頭がすべて昨年死んだそうです。逆にこの夏は大雨洪水に見舞われ、冬は異常に雪がない。そのため、例年は雪に覆われ温存される草が、冬の間に家畜に喰われて、春食べる草がなくなり、家畜が大量死すると予想しています。報道の時点で、遊牧継続は無理だと思う、と言っていましたが、恐らくもう首都近くへ移住したことでしょう。こうして大草原を駆け巡っていた騎馬民族は、何代も続いた伝統的な遊牧を諦め、首都周辺に大半が低所得者からなる大きな町を形成しているのですが、それがなぜ世界的な問題化は次回にて。
https://www.selenatravel.com/59/the-nomads-day_festival
熱中症にならないようエアコンを使おう、と言いますが、多くの人が勘違いしているのは、温度を下げるよりも大事なことが除湿だということです。天気予報が6月ごろ30℃以下なのに湿気が多いとき熱中症警報を出しますが、これも湿度の問題です。人は暑くなると体温を放散するため、先ず血管を開いて体の芯から皮膚への血流を増やし体表から放熱します。それでも足らないと次の手で、汗を蒸発させ「気化熱」で体を冷やします。このとき空気が乾燥していれば旨く蒸発できますが、湿度が高いと蒸発できず、汗がべたべたつきます。これは蒸発が出来ないためで冷却はできません。汗をかいて蒸発して皮膚が乾けば、発汗が体を冷やす効果を発揮します。エアコンの除湿がこれを可能にしてくれるのです。汗が蒸発しないと体は何とか冷やそうともっと汗を出すので、口が乾きます。そこで「こまめに水を飲もう」と言うのですがこれまた誤りです。汗は塩辛いことから分かるように体の塩分をも一緒に出してしまいます。汗をたくさんかいて水を飲むと、体液の塩分濃度がうすくなります。これが進むと、体がだるくなり頭がぼんやりして熱中症になるので、水分補給と同時に塩分補給をしなくてはなりません。塩をなめるのが簡単です。夏の運動会などには子供に水筒と共に必ず塩の小瓶を持たせましょう。水1ℓに9グラムの塩を混ぜると人間の体液と同じ濃さで、これが点滴に使う生理的食塩水です。
日本の蒸し暑さは世界に類を見ない
国連は今年、世界のあらゆる地域ではしかの「明らかな拡大」があると発表しました。WHOによれば今年の春の世界も発生報告は前年同期の4倍とか。はしかは感染力が強く、肺や脳に深刻な問題を起こすこともありますが、ワクチン接種で完全に予防できます。しかし免疫の取得率は、流行防止に必要な95%に対して85%に留まります。前号を読むと日本も決して安全と言えません。はしかが急に問題になったのはウィルスが変異強化したのではなく、もっぱら人間側の問題です。ワクチンの不徹底の原因は貧困と誤信の2つです。貧しい国では、半年で8百人もの死者を出したマダガスカルのようにワクチン接種が行き届かず多くの人が取り残されます。しかし、高い接種率と思える豊かな国でも急増が見られます。イタリアではワクチン接種を受けていない6歳以下の子供の登校を禁止しました。日本人が先進国と信じる米国も問題国です。米国の接種率は思想的、宗教的な理由で着実に低下、またワクチンが自閉症を引き起こすという怪情報を信じる反ワクチン主義者も多くいます。4月、トランプ大統領ははしかの全国的増加に直面しワクチン接種をしようと訴えましたが、そのトランプ氏は大統領選挙戦で、反ワクチン運動家たちと何度も会合し、ワクチンが自閉症の拡大を引き起こすと発言しています。有名なUCLAやカリフォルニア州立大学ではワクチン接種履歴のない学生たちを隔離することにしました。これが世界的なはしか問題です。
www.bbc.com/news/health-47157020
戸建ての家で暮らすのとマンションで暮らすのとで大きな違いは自分専用の土地があるかないかです。それぞれの事情で自分用の土地は広い場合もあればごく狭い場合もあります。日当たりの良い庭もあれば建物の陰になる庭もあります。建築家や庭師さんなら住宅との組み合わせで美しいシーンを作るでしょう。お金がないから放置し成り行き任せというケースも、草取りが嫌だからコンクリートで覆うという手もあります。条件はいろいろでしょうが、いずれにしても、その土地をどう活かすかはご自分の考え次第です。筆者は、たとえ1m四方でも良いので畑づくりでの食料生産をお勧めします。マンションなどで長く暮らしていた人達は植木鉢やプランターに植える傾向があるようですが、せっかく地面があるのですから露地植えをしましょう。4月から5月が夏の野菜の植え付け時期です。トウモロコシ、里芋、キュウリ、オクラ、トマト(ミニトマトじゃなくて本物の大きいトマトです)、しし唐、ピーマン、じゃが芋、ピーナッツ、苗が手に入ればネギや玉ねぎ。なんでも良いから面白半分に挑戦してみましょう。小松菜など葉物も出来ますが、これからの時期は虫に喰われ易く、トアローやパイベニカなど害が殆んどない農薬もありますが、秋になってから種蒔きをする方がお勧めです。試してみると、土地の肥え具合の影響が非常に大きいことが分かります。次の機会に土地を肥やす方法を考えましょう。
この春、大阪府内で院内感染により医師を含む10人がはしかにかかり、過去10年で最多のケースとか。世界保健機構WHOは、はしか(麻疹)が今年年初3ヵ月で昨年同時期の4倍に増えたと警鐘を鳴らしています。アフリカでは7倍、マダガスカルでは半年で800人が死亡、ヨーロッパでも2018年には3倍になりました。はしかが世界的に勢いを取り戻している懸念があります。
日本では1966年ワクチン接種が始まりましたが任意接種でした。78年からは予防接種法が適用され定期接種されることになりました。これは法に基づき市町村主体で実施されるもので低負担か無償で行われます。06年からは1~2歳児と就学の前年との2回接種になりました。1回目では5%の人に免疫ができないこと、時間の経過で免疫が弱化した人の補強、1回目を受けそびれた人のために必要だからです。05年までは1回接種なのでその補強のため08~12年まで中学一年と高校3年生に補足の定期接種がされました。なお88~92年に採用されたMMRワクチンのオタフク風邪ワクチンによる髄膜炎が問題となりこれを避けて接種を受けなかった人もいるかもしれません。結局、77年以前は接種を受けなかった人が多いけれど流行に感染して免疫を持っている人も多い。77~90年生まれは1回接種のうえ補足接種対象外なので危険性が高い。2回接種をした人は80%以下のようです。その後は大丈夫です。なお生まれた年は学校と同じく4月1日を境にします。不安な人は医院で3千円ほど払って免疫検査をして貰うと良いでしょう。
https.en.wikipedia.org.wiki.Measles より
昨年のように猛暑に悩まされると、2階が猛烈に熱くなった家が多かったはずです。そこで思わず屋根を睨みつけて、薄いカラースレートじゃなくて瓦葺にした方が良かったんだろうか、天井に十分な断熱材が入っていないのかな、だから屋根に照り付けた太陽で2階が熱くなるのだな、と誰しも思うものです。昔のことですが、地場工務店が建売した同じ家が並んでいるうちの1軒に知人が住んでいました。日頃から夏は2階が熱いとこぼしていたので、2階天井にセルロース断熱材を吹き込むことを薦め、自分で施工できるよう装置を貸してあげて、彼は休みの日に天井をしっかり断熱しました。ちょうど夏だったので、2階の変化を聞いてみたところ、全く変わらないとの事で大ショックでした。天井を断熱すると、太陽で焼かれた瓦の熱が天井板に伝わり天井板が熱くなるのを止めて改善される筈でした。そこで、天井板の温度を測りました。隣の天井に断熱していない家とこちらの家の天井板温度を比較したのですが、どちらも同じでした。そんな馬鹿な!!
住宅全体の壁や窓の断熱力が弱いと、内壁や窓ガラスの内面が熱くなり、壁やガラス周辺の空気が熱くなって上昇気流となってついには2階に貯まってしまう為、天井だけを断熱しても効果がなかったことが分かりました。家を居心地よくするには、床も壁も窓も天井も、全体としてしっかりした断熱でくるむことが欠かせないのです。
天井のセルロース断熱(左) と 壁のセルロース断熱(右)
3年前のアメリカ大統領選挙は現大統領トランプとヒラリー・クリントンとの闘いでしたが、その選挙戦直前にこんな話がネット上で広がりました。ワシントン市のあるピザ店コメットピザの地下室でクリントン女史が小児売春屋を開いていて、民主党幹部など多数がここを利用している、と言う話で、これを信じた人が銃を持ってこのピザ店を襲ったりしましたが、元々このピザ屋には地下室などありません。結局これはロシア情報機関から巧みに発信された偽情報だったのです。冷戦時代のソ連KGB(諜報機関)はこうした偽情報により他国の国力を分断する作戦に力を注いでいました。
1983年7月インドの新聞に「エイズウィルスは黒人や同性愛者を殺すためにアメリカ政府が開発した」と言うニュースが掲載されました。これが数年後アフリカ広域に拡がり、遂には87年全米の大手ニュース番組でも報道され世界中に広まったのです。更に、中南米で誘拐された子供たちはアメリカで臓器を取り出されている、ケネディ大統領を撃ったのはCIAだ、アメリカはローマ法王の暗殺を計画しているなどなど。冷戦終結によりソ連のこうした活動は終了と思われたのですが、その後権力を握った元KGB局員のプーチンにより偽情報作戦はフェースブックなどのSNSの普及にのって更に活発になり、ピザ屋の話もその一部らしいのです。ネット情報は便利なものではあるのですが、使う側にはそれなりの自衛が必要であることは承知しておきましょう。
せっかく地面を自由に使えるのが戸建て住宅の大きなメリットですから、観賞用の美しい庭を作ってもらうだけでなく、花壇でも菜園でも自分でいじって楽しむのも戸建て住宅の特権です。そうして自分で植物を栽培してみると、「土」がとても重要なことが分かります。植物にとって「根」が重要だからで、良い土にするには肥料さえ多量に入れれば良いというものでなく、根が伸び易くすることが重要。それには堆肥が良いようです。筆者は落ち葉、選定した庭木の葉、抜いた雑草、台所の生ごみなどを全部積み上げて堆肥を作っていて、貝殻と鳥の骨は生ごみに出しますが、それ以外は一切門外不出です。こうして作った大量の堆肥を春秋の植え替え時期に全部畑に鋤き込みますがもともとはやせた土でいい野菜は出来ませんでしたが、自家製堆肥を何年も鋤き込み続けた結果、土は黒々となり野菜の味も驚異的に美味しくなりました。具体的な堆肥作りの方法はまた別の機会として、小さな面積だけで試したい方には、生ごみを直接土に埋めてしまうのが簡単です。地表から空気が浸透して好気菌が活動できる深さ10~15㎝程度、半年もしないうちに何を埋めたか分からなくなります。おまけに生ごみの袋をカラスに破られる心配もありません。植物の根と生ごみが直接触れるとよくないので少し離して埋めましょう。台所ではビニールが混ざリ易いので要注意。これぞ現代の世界的大問題、プラスチックごみ問題です。
旧ソ連から独立したジョージア(旧称グルジア)は大国ロシアとトルコに挟まれた小国ですが、その首都トビリシ郊外にアメリカの資本が入った研究所があり、これが実はアメリカ軍の秘密研究所で、そこの薬品の人体実験により何十人もが死んでいるという話があります。これがロシアのテレビで放送され世界は大騒ぎになりました。このニュースの情報源はジョージア情報省のトップで元ソ連KGB出身、今はロシアに亡命しているギオルガゼ氏です。氏はこの研究所の漏洩文書だとしてウエブ上に証拠を公開しました。ジョージアでアメリカの試験されていない薬品が人体実験され多数の死者が出ているというのです。事実とすれば世界的大事件です。BBC放送は特派員を派遣して、その元々の文書を作った人物を見つけました。彼は、この文書はC型肝炎の治療薬の研究をしたときのもので、世界に公開され、その問題の薬は、WHO世界保健機構にも登録されたもので、その結果3万6千人が治療され、治療できず死んだ人が2百人だったと証言しました。政府所有の研究所は危険病原漏洩防止のためアメリカ国防省が建てたものですが、ロシアはその2階を米軍が使っていると報じました。調べたらそれも嘘でした。ドローンを使って毒性のある蚊を散布しようとしているとも報じられましたが、これまた嘘でした。米軍がらみと言うと本当っぽいですが、実はこれがプーチン氏得意の、疑惑を煽るためのフェークニュース作戦なのです。
日本の最近の住宅の壁の色は外壁も内壁も殆んどが淡いクリーム色かそれに近い色で、区画整理などで新興の街並みが出来ると、そっけない規格的な街並みが出来ます。内装も同様で、どの家もクリーム色かそれに類する色のクロスが殆んど、これが常識みたいになってしまい建て主もそれ以外の色にする度胸はなかなか出ないものです。では日本の昔の住宅はどうかと言うと、遊郭などは意外に派手な色を使っていました。遊郭は別にしても壁土の色でアクセントをつけるのは伝統的に行われていました。一方、西洋では当たり前のように思い切った色を内壁に使う例は多く、これがなかなかの味わいを出しています。1938年に米国でローラー塗装が発明され塗装が簡単になって以来、住宅の内壁塗装を自分で塗り替えることが一般的になったことも、壁の色がバリエーションに富んだものになるのを助長しました。添付の写真は強い色を使った部屋の例です。赤い2件は日本での実例、他の2つはアメリカの例です。次の機会に、今のビニールクロスの上から色を塗る方法を解説します。思い切って一部屋やってみては?
夏もさることながら、特に寒い季節になると窓はその方位や大きさによって諸悪の元凶にもなります。家を建てるときは「明るい家」に憧れて窓を大きくしたくなります。雑誌などの写真も眩しい程に明るい写真ばかりなので尚更で寝室や子供部屋などにも大きな窓を付けたくなります。でもよく考えれば、明るい昼間はお仕事や学校で不在、家族が集まるのは暗くなってからが多いもので、朝日が差し込む寝室は眩しくて仕方ありません。街を見下ろす急斜面にある家の浴室の例ですが、シャワーをしながら眼下に広がる夜景を見ようと、上から下までの大きなガラス張りにしました。夏はガラスに水滴が付くものの夜景も見えたのですが、寒くなったら結露で何も見えず、ガラスからしんしんと寒さが滲み込んで到底のんびりできるお風呂ではなくなってしまったと言います。
最近は住み心地をよくするために高断熱が普及してきましたし、窓も樹脂サッシとかLow-eガラスとか高性能になってきました。それでも大きな誤解があります。断熱した壁と性能を比べると、最高級Low-eガラス入り樹脂サッシ窓でさえ4~7倍も寒さの侵入を許してしまいます。適正な窓面積はこうです。
「家中の窓・ドアなどの開口面積」÷「1階・2階の広さの合計」を20%以下に抑える。温もりが入り夏は日差しが入らない南窓は大きくしても、夏の暑さがしっかり入り冬にはご利益の無い東西窓を小さくすれば楽にクリアできるものです。ご自宅を計算してみましょう。
かつてベビーブームと言う言葉は耳慣れたものでしたが、今やベビーバスト(日本語にすると出生減による社会危機)と言う言葉が問題になってきました。世界の半分の国が出生率低下に悩んでいて、現在の人口を維持するのが困難になるという問題に直面し始めました。世界平均で見ると、1950年の女性一人当たりの出産は5人でしたが、2017年には2.4人と半減しています。出生率世界最低はキプロスでは女性一人当たり1人、多い方では西アフリカのニジェールで7人以上です。途上国では多産が経済成長や社会安定の阻害要因になっていますが、EU、日本、韓国、米国などでは今の人口維持ができずこちらの経済・社会問題になります。ワシントン大学のマリー教授は何が原因であるかは分かっている、と言います。社会が成長し、女性の教育レベルの向上、良好な医療体制、5才以下の小児死亡率低下などが進むと出生率が下がるという明らかな傾向があるそうです。こうした社会の成熟自体は好ましいことなのですが、しかしその結果として起こる現在のような出生率低下は、高齢層の人口と若年層の人口とが頭でっかちになり、若年層としては高齢者が多い社会を経済的に支えることが困難に、過重負担にだんだん耐えられなくなるという問題を引き起こします。まじめに移民受け入れを考えなくてはならないときかもしれません。それとも人口減少でも成り立つ社会を作るか。難しい問題が眼前に迫っています。
アフリカは果物などの大産地であることは想像できますが、実はその生鮮野菜や果物の半分は食卓に乗る前に腐って捨てられていて、農民は貧しい暮らしを強いられています。もっと困ったことに、ウガンダでは過去20年にも及ぶ苦しい流血の紛争が、農業生活を殆ど破壊してしまいました。しかし、ある工業学校の学生が、この問題に一石を投じようとしています。農業をしている彼の伯父さんに何が問題なの、と聞くとせっかく作物が出来ても保存することが出来ず大半を捨てることになるとの事。実際、市場で見る野菜や果物もその1/3は明日になれば腐って捨てられることでしょう。そこで彼は乾燥ボックスを作って販売することにしました。鉄パイプで枠を作り薄っぺらな鉄板を張った手作りの箱の中に棚を作り、下に熱源として炭火コンロを入れます。まだ7台しか売れていませんが1台は伯父さんが買ってくれました。今では伯父さんは毎日これで作物を乾燥していますが、市場では2つで500シリング(15円)にしかならないマンゴーが乾燥すれば1つで1000シリング(30円)、こうして収入は4倍になりました。今までは捨ててばかりで貧しく苦しかったけど、と伯父さん。大量に捨てていた作物も節約できて収入も増え、農園に家を建てることも出来ました。学生君はこれを周りの村や国にも売ろうと言っています。まだまだ国内製の器具は信用されませんが、こうしてアフリカは少しづつ変わろうとしているのです。
フルーツを乾燥する伯父さん
窓は明るさ・景観と言う役割のほかに、温もりや暑さを取り込む機能もあります。住み心地を考えるとき、窓の向きはとても重要で、太陽の高さや方向と合わせて考えなくてはなりません。昔の冷暖房がなかった時代には冬暖かく夏涼しいように大工さんは太陽の向きや風を考えに入れて家を建てていましたが、今日建て主の嗜好重視によりそれが顧みられなくなっているようです。冬の太陽は、南の空を低空飛行するので家の南面にはたっぷり温もりが届きます。昔の家は南の開口が大きく、縁側で日向ぼっこをしたものです。しかし東西の窓には大したエネルギーは届きません。夏になると太陽は高くなり、南窓には殆ど日が当たりません。ただ地面や向いの家が熱くなりそこから照り返しが家に入ってきますが、今どきのLow-eガラスはその暑さを遮断します。しかし午前午後の太陽は東西やや北よりから家の東西壁をあぶるので、東西向きの窓を大きくするとひどい目に会います。これは昔から「西日」と呼ばれ嫌われていたものです。こうして見ると正しい窓の配置が浮かび上がります。南の窓は大きめにとって明るくし、冬の温もりを取り込みます。東西の窓は縦長の細い明り取り程度にとどめ、夏の暑さを防ぎます。北の窓は、風通しが主目的で、南の窓との間で風が通り抜けられるようにします。こうすると昔の大工さんの家に近づくところが面白いですね。
(冬) (夏)
冬の陽は南面を暖めてくれ、夏の陽は東西と屋根を焼きます。
ここ20年、先進諸国で45~54才の死亡率は2/3程に低下してますがアメリカの白人は逆に増加中で、死亡原因は薬物・アルコールの過剰摂取が1位、自殺が3位でいずれも急上昇中です。年間4,500人、殺人の2倍が自殺しています。自殺者の身内は普通の3倍の自殺可能性があるため、自殺者の子供たちが集うキャンプを定期的に開催して心のケアを行う団体がいくつもあるとか。モンタナ州は自殺最多の州。BBC放送の取材にある男性は「アメリカは競争社会、勝つことが良いとされ、自由世界を守るため戦うのだとされてきたけど、本当はそんな競い合いが嫌いな自分のような者が多い。金持ちにもなれず、仕事もなくなると落ち込んでしまう」と語ります。「自分も自殺を決意し、銃に自分と愛犬用に2発弾を込めたけど、その犬にじっと見つめられて思いとどまったよ」と。アメリカ中西部の白人の立場はこのようなものなのに、世界の迷惑男トランプの「アメリカを再び偉大な国に」という掛け声に夢再びと票を投じます。しかし彼等の住む地域は移民が僅かしか来ない地域で移民のせいではありません。アメリカの大半が産業構造の変化に乗れなかったからでトランプ主義では何ともならないのです。0.1%の人が保有する富が下位90%の保有する富と同じで、上位20人が保有する富が国民の半分が所有する富に等しいという歪んだ国なのに、その下層の人達が大富豪の大統領を支援するとは民主主義とは何か?と疑問を抱きます。
中日新聞18.09.23 より
最近の住宅は高性能化が進み、窓もLow-eガラスとか樹脂サッシ等が当たり前になってきました。ちなみにLow-eガラス入り樹脂サッシは旧来のガラス1枚のアルミサッシの4倍も保温力がありその上隙間風もありません。でも何年も前に建てた家に住む人は?。一番のお勧めは今ある窓の内側に「内付けサッシ」を取り付けることです。どうせなら樹脂サッシLow-e入り2重ガラスのものを付けましょう。割に安上がりで工事も簡単に済みます。保温力は3倍ほどに強化されるので、暖房や冷房の利きが大きく改善されます。結露も隙間風もなくなります。窓がダブルになるので盗難防止にも効果的です。外の騒音もびっくりするほど止まってしまい、その効果は強風のときなどにはっきり分かります。窓の開閉を2回づつするのが面倒ですが、面倒さは他の効果で十分打ち消されます。既存の窓を取り替えたい場合、サイディングなどの外壁材を外さないとできないことが障害になって窓の改善工事を諦める人が多いのですが、住み心地改善のニーズが高まってきたらしく、最近は古い窓の外から新しい窓を付加する方法、障子を外し枠は残したままその内側にLow-eガラス入りの窓を取り付ける方法など、いろいろな方法が出来るようになってきました。特に効果が大きい掃き出し窓はやるとして、他の窓も安い方法で良いのでやるべきです。でないとダウンジャケットを着てミニスカートになります(そんな女の子も見かけるけど)。
少し強い地震の後に被災地を訪れると、軒並み屋根にブルーシートが載っている風景に出会います。これは地震の揺れで棟瓦がすれてしまったための応急防水処置です。昔は和瓦の施工は瓦の下に壁土を置きそれに瓦を接着していましたが、今では屋根上に瓦桟という木材を取り付けそれに瓦を釘止めします。ところが棟瓦だけは背が高いので内部に土を盛って瓦を固定する方法でせざるを得ず、浮き上がりを防ぐために銅線で括り付けます。この程度の固定しかできないので、地震で強く揺すられると棟が崩れてしまい、特に地方の古い和風の家が多いところでは「軒並み」ブルーシートになってしまうのです。寒冷地では、焼き物の瓦を使うと水が浸み込んで凍結で割れるということで殆どが金属瓦で屋根葺きが行われます。また最近は殆どが平瓦や洋風瓦など釉薬のかかった水が滲みないものが使われ、棟瓦も小さいのでビス止めされています。残念に思うのは、あの日本古来の伝統美が失われてゆくことです。本来の和瓦は松材を(今はLPGガス)燃やして発生する炭素を瓦の表面から高温で浸み込ませてあの独特の銀色の風味を生み出しています。とはいえ、今や建物外壁も防火規制で同じような無国籍型になってしまいバラバラの家づくりが進むのですがそれが日本文化なんですかねー。昔変わらぬ形のレンガ色の瓦で家並みを整るヨーロッパを見ると寂しくなります。
以前紹介したように、浮世絵に見られる江戸庶民の反骨精神はなかなかのもので政権の締付けにもめげずに昨今のマスメディアよりも元気に戦っていましたが、こちらもその一例。江戸市民が自由な経済活動で豊かになる一方で、米に依存する幕府の財政は寒冷期(小氷期)による大飢饉もあって厳しくなり、老中水野忠邦は1841年に不人気な贅沢禁止令と緊縮財政の天保の改革を打ち出します。鰻ダメ、女髪結いダメ、浮世絵ダメ、落語ダメ、綺麗な着物ダメなどなど。このあおりを食らって飯の食い上げになり、憤懣やるかたない天才絵師、歌川国芳が能「土蜘蛛」を題材に描いて江戸で大評判になったのが「源頼光公館土蜘作妖怪図」(ミナモトノヨリミツコウのヤカタにツチグモがヨウカイをナス図)です。病気の源頼光と家来の四天王を土蜘蛛が妖怪群を送って攻める絵ですが、江戸の人々はこの絵を、惰眠をむさぼる将軍家慶、悪政をする老中水野忠邦と三人の老中達と、悪令に苦しむ庶民の恨みが髪結いの妖怪、寄席を禁止された噺家の歯の無い(はなし)妖怪、うなぎ屋の妖怪、富くじの妖怪などに化した絵と読み取って、これこそわれらが憤懣を絵にしたものと大人気を博しました。5人の侍が誰々かは着物の家紋や模様で分かるらしいのです。絵師国芳が本当に風刺の意図をもって描いたかどうかは諸説がありますが、国芳も版元も「そんなつもりはありませんでした」と宣言し版元・伊場屋仙三郎は版木を処分して処分を免れました。だが既に巷には大量の絵が出回ったあとで、今では早稲田大学、ボストン美術館、オーストラリア国立図書館など世界中に所蔵されています。実は筆者も持っています。本物の江戸時代のものですよ。拡大された絵は下記で見られます。
http://nla.gov.au/nla.obj-151442970/view